はじめての与那国

 

島へ島へと

はじめての与那国

私ははじめて与那国島に立った時の印象を書こうとしている。

滑走路は海の沿ってある。飛行機のタイヤがアスファルトの滑走路に触れ、激しい揺れがあって、やがて静かになる。窓の外が与那国島なのだ。

スチュワーデスがドアを開くと、機内では乗客がほっとした様子でいっせいに立ち上がる。頭上の棚や足元からの持つを取り、外に向かっていく乗客の一人が私である。頭を縮こめていなければ、機内では歩けない。踏むと揺れやすいアルミの小さなタラップを降り、滑走路とつづいたアスファルトに立った。足元がしっかりしているので安心した気分があった。

太陽の光は強いとも感じたのだが、不思議と明るいというようには感じなかった私は新川広さんの「新南島風土記」や島尾利治さんの南島論などを読んでいて、南凕というイメージに漬かっていたからだろうか。光が強ければ当然影も濃い。そのコントラストの強さが、全体的な風光に暗さを感じさせるのだった。

ターミナルはコンクリートの箱のような建物であった。そこで迎えの人がごったがえしていた。家族の帰りを待っている人もいるのだろうが、旅の人を迎えにきた人も多いはずだ。なにしろ十九人乗りの小型機で、迎えの人のほうがはるかに多い。人を迎えるのにこんなに熱心なのは、交通ということがこの島にとって重要な要件だからであろう。

人が行き来しなければ、この島は成り立たない。人口が少なければ自給自足も可能なのだが、人口が増えたので多様な食料を運んでこなければならず、現代の生活には多様な工業製品も必要なのだ。

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