操業がはじまった

 

 

島へ島へと

操業がはじまった

話し合いがこじれ、いたずらに時間が過ぎて、製糖工場の操業はなかなかはじめることができなかった。そんな時、与那国農協がこんなにも追い詰められているのに、ボランティアの名のもとに集まった暖農隊が日当をもらうのはおかしいではないかという議論が、湧き上がってきた。

この点について、暖農舎の藤野博之さんは答えている。砂糖キビ農業は与那国島の基幹産業で、明らかな経済活動である。それをボランティアで行わなければならないほうが異常である。労働期間は一ヶ月以上かかり、生活費もかかるので、まったくの無償でやることはできない。島のひとたちももらっている日当を暖農隊ももらうことによって、仕事の責任もででくる。途中で帰られるのが島にとっては困ることであり、全期間を働いてもらうには、生活もある程度保証されなければならない。本土に家族を残してきたひともあり、後方の心配をなくして、責任をもった労働力を安定して確保するためには、ある程度の賃金を払うのは当然ではないか。

暖農隊の本当の目的は、与那国島に自立をしてもらうことである。暖農隊はあくまで手伝いで、与那国島が基幹農業の製糖を自分たちの力でできるようになるまで、助力するということである。

そのためには、暖農隊の人集めの方法を、与那国農協の知ってもらわなければならない。当面の人手不足のため基幹産業が崩壊されることをおそれるが、五年間は暖農隊を送り込むので、その間に与那国島が自立してほしいというのが、暖農隊の望みである。砂糖キビ畑や製糖工場で働く隊員は日当をもらうにせよ、世話人の藤野さんや黒田さんは完全なボランティアなのである。

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