民宿さきはら-2

 

島へ島へと

民宿さきはら-2

民宿さきはらは、役場と農協の建物の裏側にあった。崎原家も農家で、自分たちでも砂糖キビを栽培し、その上で民宿をして援農隊や観光客を受け入れているということだ。そもそも砂糖キビ畑で手が足りないわけで、民宿の仕事でも人を雇ってはいるだろうが、目の回る忙しさであろう。

民宿の中には障子を閉め切ってある部屋があり、そこには極力近づかないか、廊下を通り過ぎていかなければならない場合には、物音を立てないようにしてほしいと注意を受けた。おしゃべりをしながら廊下を歩くなんてとんでもない。製糖工場で夜勤をしてきた人たちが眠っているのだ。眠れるときに眠っておかなければ、働くことはできない。

民宿に泊まって、畑に働きに行く人もいた。農家に泊まることが原則なのだが、農家のほうでも三食の世話がやりきれないのであろう。民宿全体には緊張感がみなぎっていた。援農隊の現地本部もここにおかれ、稲垣さんが常駐して、何かあればすぐに出かける態勢である。私は藤野さんと同じ部屋に泊まることになった。

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