墓地を見る-2

 

島へ島へ

墓地を見る-2

眩しくて青い海が見えたりする。珊瑚石灰岩にかこまれた小さな入れ江があり、やはり小さいのだが美しい砂浜がある。寄せては返していく波を眺めていくと、私は時を超えて昔の人と結びついているような気がする。ここは他界の入り口で、苦しい現実の世界から逃れていく道が、ここにつづいているようにも感じるのである。

さて、私は飛行機に乗って、天井から墓地を見ているのである。離陸が近くなって不安定に揺れ始める飛行機は、さながらさまよう魂のようである。

援農者がはじめたさとうきび援農隊に参加しようと興味を持ったのは、現れては消滅する悲傷に満ちた現実から、よくわからないにせよ他界、すなわち一つの世界への入り口を見つけて、そこに行ってみたいと無意識のうちに念願していたのかもしれない。

私は三十代半ばまで、泥をかぶり汗にまみれて働く自信がまだあったのである。

しかし、大野大吾さんからその話を聞いたのは、先輩作家たちとの酒席で、出発はすぐそくに迫っていた時だった。私は作家としてようやく一本立ちしたばかりで、それなりに仕事のスケジュールができはじめ、援農隊に参加するほどの時間がとれなかった。そのため、翌年計画的に必要なだけの時間を取り、今年は気持ちがはやるのでとにかく見に行くだけにしょうと決めたのだ。援農隊の苦しい歴史は、なんとなくであったが、大野さんから聞いていた。

祖内の集落が窓の下に見えた。みんな仲良く身を寄せあっているように見える集落であった。飛行機はぐんぐん降下し、海をかすめるようにして飛んでいく。

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