雨の砂糖キビ畑

 

島へ島へと

雨の砂糖キビ畑

太陽の下で力いっぱい筋肉を使うので、なんだか消火器官が働くのを辞めてしまったようで、まったく食欲がない。食べてくなければ水を飲んで腹をいっぱいにしていくようにと、大嵩のオジーにはいわれた。身体がまいるのを、なんとか防がなければならない。

一日中炎熱の畑にいた翌朝は、硬い飯はなかなか喉を通っていかなかった。飯に水をかけて無理矢理のどに押しこみ、畑にでていったこともあった。大量の限界に挑戦するような毎日であった。

ちょうど田植えの時期と重なっていた。オジーは田んぼにかかりっきになり、目刺のオバーも大嵩のオバーも年が年なので無理はできず、野球グラウンドよりもはるかに広い一町余りの砂糖キビ畑で、私が一人で仕事をしていることもあった私は一列を手斧で倒し終えると、また戻っていって一本ずつ葉を落とし皮を剥きある本数がたまると結束した。見かねたのか、近所の畑から応援にくることもあった。

手伝いの人は、思いもかけないほどに増えたり、誰もこなかったりもした。トラックを運転して畑にくることからはじまり、渡しは何もかも一人でしなければならなかった。水辺につないである水牛を引いてきて、鞍をかけて荷車にしばりつけ、荷車をあやつった。最初はそばに寄れもしなかった水牛であるが、ホィッ(歩け)、ダアッ(止まれ)の二つの言葉を怒鳴るだけで、私に率直にしたがうようになった。真黒で大きな水牛だが、受血した小さな目で感情を知ることができるようになっていた。

島が小さいということではないだろうが、空模様はめまぐるしく変わった。雲の動きが速いのである。晴れわたっていたかと思うと、上空を黒っぽい雲が吹き流れていき、雨粒が落ちてきた。雨合羽はいつもそばに置いておかなければならなかった。

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