島へ島へと
仕事を求む
そもそも贅沢に持っているわけでもない旅の資金が
いよいよ貧しくなってきた。どんなに節約しても、
食べ物はたべなくてはならない。船賃も残してはならないので、仕事でもしてお金を稼がなくてはならなくなった。パスポートまがいの身分証明書を持たなければ沖縄に渡ってくることはできないとはいっても、外国ではないので労働許可書はいらない。自分で仕事を見つけ、労働の対価として堂々と賃金をもらえばよいのである。
さて、私にどんな仕事ができるのだろう。幸いに若いし、体も丈夫である。短期間なら、どんな重労働でもこなす自信があった。その気になれば、仕事などいくらでもあるようにさえ思えた。例によって、
ヒッチハイクをした。車に乗せてくれた人に、何か仕事ありませんかと尋ねる。「どの期間働くの」
必ずこう聞かれる。もちろんそんなに多くの時間があるわけではない。働くことも一種の旅として、最長で三週間か四週間であろう。要するにばいとである。
「それなら砂糖キビ畑がいいさあ。誰でもできる仕事だから。苦しいけど、それでもいいかなあ」
楽で稼げる仕事がいいに決まってるのだが、そううまくいくはずもない。もちろん、苦しくてもいい。
できたら今まで知らない世界にはいることができたら、それ自体が旅となる。砂糖キビとみて改めて見れば、あっちこっちの畑でも、人が固まって仕事をしている。砂糖キビ畑は、北のほうの人間には、旅情をかき立てる響きがある。なんだか砂糖キビ畑で働きたくなってきた。「使ってくれますかねぇ」
不安になりながら私はいう。