天上の旅-2

 

島へ島へと

天上の旅-2

 

私は風景の中に魂が吸い込まれるようにして、窓の外を眺めていた。眼下にやってくるのは竹富島である。空から眺めると、トルコ石青い色の波に包まれた小島は、まさに宝石のように見える。砂糖畑は緑色で、そこに白い道が伸びている。赤瓦の家々が固まりあっている。私は天上から鳥の視点で眺めているのだが、あの島には何度かいったことがある。

最初に訪れたのは、復帰のだいぶ前で、ドル紙幣が流通していた。ユースホテルに泊まっ他のだと思う。海岸に行くと白砂で、一粒一粒が星の形をしているのであった。星の砂を見たのははじめてで、世の中にはこんなに不思議なものがあるのかと驚いた。見るもの聞くののが現実離れしていくように感じた。小さな博物館があり、人魚の骨や馬の角などと表示されたものが展示してあった。怪しいと言えば怪しいのだが、この島ならばそんなものがあっても当然だとも思えた。他にやってくる旅人も数えるほどで、船着場からデイゴの赤い花の咲く道を自転車で走れながら、こんな島ならいつまでもいてもいいなと思ったものである。私のごく初期の沖縄体験だ。

天上の旅は時間さえも超える。竹富島を過ぎると西表に至る。峰が切り立ち」、深い緑に覆われている。平坦でオパールのような竹富島とは対照的な、奥行きがあって、たくさんの秘密がありそうな島だ。私は飛行機の窓に顔を近づけ、皺が寄ったような峰や谷や、蛇行して流れる一つの精気あふれる生き物のような川を眺めるのだ。そこはとても島とは思えないほど、山は高く谷は深い。

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