沖縄へのラブレター

 

島へ島へと

沖縄へのラブレター

与那国農協は事実上倒産状態にあり、製糖工場を葬儀用資金はない。しかし、畑には砂糖キビが刈り取りを待つばかりに育っていって、時機を逃せば立ち枯れになる。倒産は農協ばかりではなく、個々の農家にもおよぶであろう。まさに土壇場まで来ているのに、援農隊は東京を出発できないでいた。苦労して準備してきた援農隊にとっても、我慢の限界にきていた。そこで藤野浩之さんは沖縄タイムスと琉球新報に「与那国島サトウキビ刈り援農隊アピール」を出す。藤野さんの著書「サトウキビ援農隊」より、そのアピールの内容を要約する。沖縄の離島では労働人口の極端な不足に苦しみ、本土では沖縄の風土と文化をもとに労働をして学ぼうという希望がある。沖縄県の失業率が高くなっていることも知らないわけではないが、援農隊を送ることは与那国島にとっても、現地での生活体験を望む人にとっても有意義のはずである。

与那国島農協との二年越しの話し合いの条件を示して本土で募集したところ、定員六倍の募集があり、そのうち八十人を選考した。この中には会社を辞めて参加を望んだ人もいる。出発予定日の三日前に、電報で与那国農協より出発延期の要請があった。援農隊ではとりあえず出発延期を決め、参加者に知らせた。アピール文は次のようにつづく。

 

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