ヌードダンサー

 

島へ島へと

ヌードダンサー

表の看板には「ビアホール清水港」と書いてあったのだが、あくまでもこれは表面上のことで、みんなはなんと呼んでいたのかわからない。アメリカ軍の兵士の若者たちにはいくべきところができ、沖縄のホステスたちにはしゅうにゅうがとれる働く口が生まれた。みんなに喜ばれていたはずだが、アウトローはアウトローで警察の取り締まりには気をつけなければならなかった。
警察は知っていながら、それはそれで社会の秩序を守るためには必要だとして、お目こぼしにあずかったのかどうか、私にはわからない。波之上のナイトクラブに働くホステスが知っているのだから、その歓楽街でも結構有名で、「ビアホール清水港」のすぐ前に交番を持っている警察がまったく情報をつかんでいないとは考えにくい。
また、同じような営業をしてる店がほかにもあるかどうか、私にはわからない。
私はただの旅人にすぎなくて、自分の仕事場だけで充分な驚きがあったのだ。
Aサインバーは簡単には数えられないほど多くあったし、ホステスも何百人かもしくは千人は越す数はいただろうから、それらの人が就業と同時に暗い街のどこかに吸い込まれるように消えてしまったのは、謎といえば謎だった。

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