朝鮮漂民の見聞-2

 

島へ島へと

朝鮮漂民の見聞-2

「この島の住民は長大でひげが美しく坐ると膝に至り、女は髪が長く立って地に届いた。言語衣服は日本人とはちがう。漂流民が木の葉に朝鮮国と書いて見せたが解らぬようであった。衣服は麻や木綿で絹はなく苧を織った布でつくり、袖は短く広く仕立て藍青に染めてある。男は褌はなく裳を着ける。その裳も青に染てある」着るのは麻や木綿で、麻を裂いて苧を織るということは、現在でもなされている。すでに藍を使っていたようである。

稲を食べた。粟はあっても植えなかったということは、雑草として存在していたということであろう。それだけでもそれだけでも島人の豊かな暮らしが想像できる。飯を炊くのに釜や鍋はなく、土で鼎をつくって、稲でいぶすだけなので、五、六日でこわれてしまう。皿や椀などの陶器はなく、飯は竹筒に盛って掘り飯にし、木の葉を食器にした。海水を菜に加えてあつもりをつくり、米を噛んで

木桶にいれ口噛み酒をつくった。舟にはさおがあり、櫓はない。風が出ると帆を張る。「盗賊がいない、道におちたものは拾わない。互に罵ったり喧嘩をしたりしない。小児を愛撫し、泣きわめいても手で打つことはしない」まことに平和な島の様子が感じられる。

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