製糖の仕事の実際-2

 

島へ島へと

製糖の仕事の実際-2

この上澄み液と、沈殿したものをお濾過して得た糖分をまぜる。蒸気で減圧することによって低温で濃縮液がとれる。これを常圧に戻し、さらに煮詰めて水分を蒸発させる。こうして得られた飽和状態の液を冷却して撹拌していくと、糖分が結晶する。これが黒糖である。

暑い黒糖は泥のような状態で、まだ固まっていない。柔らかいうちに三十キロの箱に詰めると、冷えて固くなる。ぎっちりと詰め込むためには、箱に少しづつ詰めては、金属棒でたたいて隙間をなくさなければならない。こうしてできた黒糖は、原料の砂糖キビの五十パーセントほどになっている。

かつての製糖工場での作業は、ほとんどがつらい肉体労働であった。現在では機械にとって変われるところは機械化したので、人の力を直接に使わなければならないところは少なくなった。それでも基本的な工程は何も変わっていない。甘くておいしい黒糖なのだが、人に労苦を強いる。昔と今とは変わらない。

ことにはじめて参加した援農隊員は、長いこと待たされたあげくに、急に重労働の中に放り込まれたのだった。援農隊がはった農協所有の畑はことに手入れが悪く、土地改良もされていないので起伏が激しい。雨が降ると水が溜まってくるのだが、作業をやめることはできない。砂糖キビは育ちが悪い上に、つる草が一本一本に絡んでいる。砂糖キビの根元を手斧で刈り倒しても、株を一本ずつに抜き出すのがことのほか重労働だ。これは私も経験したことなのである。つる草を鎌で切っていたのでは能率が悪く、強引に引っ張り出そうとすればたちまち腰が痛くなってくる。いくらつらくても休むわけにはいかない。

晴れれば暑いし、雨が降ればスコールとなる。雨がぱつっぱつっと降ってくるや

そばに置いておいた合羽を素早く着て、また作業をつづける。その雨の下で弁当を食べると、お半粒が水に浮かんでくる。これも私が経験したことである。

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